主の腕に惚れた大物俳優(yōu)や政財(cái)界の名士が通いつめた伝説の床屋。ある事情からその店に最初で最後の予約を入れた?jī)Wと店主との特別な時(shí)間が始まる「海の見える理髪店」。意識(shí)を押しつける畫家の母から必死に逃れて16年。理由あって懐かしい町に帰った私と母との思いもよらない再會(huì)を描く「いつか來(lái)た道」。仕事ばかりの夫と口うるさい義母に反発。子連れで実家に帰った祥子のもとに、その晩から不思議なメールが屆き始める「遠(yuǎn)くから來(lái)た手紙」。親の離婚で母の実家に連れられてきた茜は、家出をして海を目指す「空は今日もスカイ」。父の形見を修理するために足を運(yùn)んだ時(shí)計(jì)屋で、忘れていた父との思い出の斷片が次々によみがえる「時(shí)のない時(shí)計(jì)」。數(shù)年前に中學(xué)生の娘が急逝。悲嘆に暮れる日々を過(guò)ごしてきた夫婦が娘に代わり、成人式に替え玉出席しようと奮闘する「成人式」。伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。もしも「あの時(shí)」に戻ることができたら……。誰(shuí)の人生にも必ず訪れる、喪失の悲しみとその先に燈る小さな光が胸に染みる家族小説集。
